受賞作品展示 科学部門
令和2年度(第57回)受賞作品

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文部科学大臣賞(高学年の部)

飛べ!カイコ!

~戻し交配によってカイコは飛べるようになるのか?~

茨城県つくば市 竹園東小学校 6年

八田 曉美

審査員のコメント

 この児童は継続研究で,カイコの研究は4年目。小学生としてはかなりレベルの高い研究です。桑の葉の採集時に偶然出会うカイコの野生種のクワコを研究にとり入れることで,カイコ愛が一層高まり,研究に力が入っていることが感じられました。
 カイコは飛べないがクワコは飛べることから,両者の戻し交配を実施することにし,飛ぶことに関しての遺伝的な側面や形態的な側面を研究しています。たくさんの実験とデータの整理もすばらしく,最終的にカイコの表現型に近く,飛ぶ能力をもつ夢の個体の誕生に至っていて,大人顔負けといえる内容に高評価となりました。
crown

受賞者の言葉

 「君のなぜ?未来につながる第一歩」。これは私がつくば科学フェスティバルで受賞した標語だ。私の「なぜ?」という探求心は、4年前のカイコとの出会いから始まった。カイコの謎を解き明かす研究を通して、様々な出会いがあった。大学の研究者の先生方、カイコの先祖である野蚕。こうした出会いを通して次々と研究のアイデアがわき、今年はついにカイコ蛾を飛ばすことに成功した。「飛べ!カイコ!」。私の大好きなカイコは、気持ち良さそうに飛んだだけでなく、私を全国一位という高いところにまで飛んで連れて行ってくれた。いつも自分のことのように喜んでくれる担任の先生から、「おめでとう!文部科学大臣賞を受賞したよ。」と連絡を頂いたとき、最初はとても驚いたが、そのあとにものすごい嬉しさと、研究を続けて良かったと思った。そしてまた研究を続けることに自信がわいた。
 生物の実験は思い通りに進まないことばかりだ。でも、もしかしたら私の研究が将来の地球や人類のために大きく役立つものになるかもしれないという思いが、最後まであきらめずに頑張るための勇気をくれる。私はこの表情豊かでかわいい「天の虫『蚕』」と一緒にこれからも研究を楽しく続けていきたい。