受賞作品展⽰ 作⽂部⾨
令和5年度(第60回)受賞作品

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全国連合小学校長会会長賞

ねがいごと

愛知県 岡崎市立六名小学校 2年

佐野 耀斗

 一年生の作文にぼくは、いつかこの日本がマスクしないでみんなのえがおいっぱいにつつまれますように、と書いたんだ。そのぼくの思いが今少しかなっているように思える。ぼくは、年少の時からマスクをしての生活で一年生もマスクをした生活でした。
 小学校に入学してはじめて会った友だちのかおもマスクごしのかおしか見たことありません。二年生になりようやくコロナウイルスがおちついて、マスクもじぶんのはんだんになりました。ぼくはおかあさんに、
「ようやくマスクもはずせるね。はずして学校に行けるようになるのって、みんなのかおを見られるしうれしいね。」
と言われました。ぼくは、
「そうじゃん。うれしい。」
とニコニコして言いました。そうだ、そうだ、みんなのかおが見られるよ。うれしいなぁというウキウキドキドキした気もちで学校に行きました。学校につくと、マスクをしていた子とマスクをしていない子がいました。していない子を見ると、えがおで話している子、口をあけてわらっている子、あくびをしている子、さまぎまでした。
 ぼくは、みんなのかおを見てしぜんにえがおになっていました。○○ちゃんは、こんなかおをしていたんだとか、○○くんは、こうゆうかおをしていたんだなぁと思いながらみんなとの時間をすごしていました。
 ただそのなかにも、まだマスクをしている子がいます。どうしてマスクをしているの。マスクはずしていいのにどうしてなんだろうと心の中で気になってしかたありません。その気もちをかかえたまま家にかえってすぐにおかあさんに、
「マスクをはずしていいのに、何でまだマスクをしている子がいるの。」
と、聞きました。おかあさんは、
「色んなりゆうがあると思うよ。かぜをひいてしまった子や、体ちょうがわるい子もいるだろうし、それに何年もマスクをしての生活だったし、きゅうにマスクはずしてって、なんだかはずかしかったりするんだよ。」
と言われました。そして、
「おかあさんだって、きゅうにマスクはずして外行くの、ちょっとはずかしいよ。」と言いました。ぼくは、おかあさんのことばをきいて、さいしょは、何言ってるのと思ったけど、だんだんとしんけんに考えるようになりました。
 考えるうちに何だかはずかしくなりました。だってぼくは、自分だけの気もちでマスクをはずせうれしい気もちしか考えてなかったからです。考えて見れば、ぼくのおねえちゃんもそうでした。今も学校に行く時マスクをしていきます。そういえばおねえちゃんが言ってたのを思い出しました。
「今さら、マスクをはずしてとかいやだよ。」と言っているのを。たしかにマスクをはずしている人もたくさんいるけれど、マスクをしている人もたくさんいるのがまだげんじつです。ぼくは、マスクをはずせるよ、うれしいなぁ、みんなのえがおがたくさん見られるなぁとかってにまい上がっていたけれど、ぼくと同じ思いの人ばかりじゃないこともしりました。今もマスクをしている人の中には、さまざまな気もちや思いがあることもしりました。
 コロナウィルスがおちついてきてマスクのちゃくようも自分のはんだんになって、マスクをしていない人にたいしても心のないことばだったり、マスクをしている人にたいしても心のないことばを耳にすることがあります。ぼくは、とてもかなしくなります。
 ぼくのねがいは、本当にたくさんの人のえがおが見たいだけなのです。今までたくさんうばわれてきていたみんなのえがお。マスクをしていてひょうじょうがつたわらなかった。でも今は、つたえることが出きる。みんなのえがおも見ることが出きる。
 まだまだ少しだけかもしれないけど、ぼくがここ何年かのねがいがかなってるように思えてすごくうれしい。この先もみんなのえがおいっぱいになりますように。

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